亀さんのC型肝炎と治験参加
以前にもこのブログで書きましたが、元気溌剌とカワセミ撮影に駆け回っている亀さんは、C型肝炎の患者です。
その亀さんが、今回、C型肝炎の根治を目指して、新薬の治験に再び参加することになりました。
今回の治験は、C型肝炎ウイルスの増殖に係わる酵素の働きを抑えることによって、C型肝炎ウイルスの増殖を抑制する効果が期待されている新規の経口剤(錠剤・カプセル)(注1)の服用によるものです。
また、遺伝子型が1bのC型肝炎ウイルスに感染し、高ウイルス量の肝炎患者で、インターフェロンとリバビリンの併用療法を行なっても効果がなかったなどの条件に該当する者を対象としています。
亀さんは、自らのC型肝炎の完治を願うとともに、C型肝炎の治療法の開発に協力するため、この治験に参加することにし、2月29日より新規の経口剤の服用を始めました。
《以下は、C型肝炎に興味のある方がお読みいただければ結構です。》
1.C型肝炎は、感染者の血液を介して感染しますが、主に、輸血・血液製剤の投与・手術・注射針などで、肝炎ウイルスが体内に入り込んで感染するようです。(通常の行為や性的行為では感染しません。)
亀さんは、輸血・手術を経験しておりませんので、注射針などからの感染であろうと思っています。(因みに、亀さんの小さい頃は、注射針を替えずに、学校で予防注射をやっていました。)
2.亀さんは、約20年前に発病して以来、①根治のためのα‐インターフェロン投与、②対症療法としての強力ミノファーゲンの投与、③根治のためのβ‐インターフェロン(ペグインターフェロン)とリバビリンの投与の治験参加(注2)などの治療経緯を経て、現在は、対症療法として、治験の際よりも少量のβ‐インターフェロンとリバビリンの投与と受けています。
3.極めて高額な医療費が掛かりますが、あくまでもC型肝炎ウイルスを根絶するものではなく、C型肝炎の進行を遅らせ、健康を維持するための対症療法にすぎません。
4.そもそも、C型肝炎ウイルスはそれが持っている遺伝子の違いにより主に1a、1b、2a、2bなどのタイプに分類されています。日本人に多いのは1b型で約70%、2a型、2b型がそれぞれ20%、10%程度で、1a型はほとんどみられません。1a、1b型はインターフェロンが効きにくいタイプとされています。
端的に言えば、インターフェロンは肝炎治療の特効薬のように言われていますが、日本人のC型肝炎患者の70%には、インターフェロンはあまり効かないのです。
5.したがって、亀さんは、C型肝炎の根治が困難なので、高額な医療費を払って、週に3回β‐インターフェロンの投与とリバビリンの服用を続け、肝炎の進行を遅らせるしかないと思っていました。
6.亀さんが治療を受けているのは、C型肝炎治療では最先端のT病院なので、亀さんとしてもそれで納得していました。
ところが、そのT病院で、インターフェロンが効かない患者にも効く新薬の治験を始めることになり、高校の同期生で肝臓学会の会長も歴任したⅠ教授にも相談して、その治験に亀さんも参加することになりました。
治験の結果については、治験終了後にご報告いたします。(記入者:亀さん)
(注1)治験に使われる経口剤は、ブリストル・マイヤーズ社のBMS-790052(60mg)1錠/日とBMS-650032(100mg)2カプセル/日です。
(注2)「亀さんの入院 《お知らせ》」(2008.03.24):http://dankai-hiroba.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_8cf5.html。「亀さんのC型肝炎と今回の治験」(2008.03.25):http://dankai-hiroba.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_828d.html
(参照1)C型肝炎とその治療:http://www.c-kan.net/hepatitis-c/knowledge/
(参照2)Nature ハイライト>医学:C型肝炎の新しい治療薬 :http://www.natureasia.com/japan/nature/updates/index.php?i=77770
(参照3)はばたき福祉事業団>「米ブリストル 新規抗ウイルス剤、HCVの9割で陰性化達成 」(2011.11.27):http://habatakifukushi.jp/square/medical/medicalcat4/post-52.html
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コメント
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おはようございます。
C型肝炎の新薬が開発されたようですね。
根治を願っています。
投稿: mico | 2012年3月 2日 (金) 09:35
> micoさんへ
これで2回目の治験参加になりますが、新薬の新しい投与法の開発に貢献できればと思っています。
自らが根治できることも願っていますが、前回は期待が大きすぎて失敗したときの落胆も大きかったので、今回は、中くらいの期待に留めておこうと思います。
投稿: 亀さん | 2012年3月 3日 (土) 01:17
私もインターフェロンが効かなくて、最近東京のTM病院に通いだしました。治験は、費用が高いのですか2~3年後に認可されるから、それまで今の状態を・・・と言われていますが・・・2~3年後にやるなら今のうちにやった方がいいような気がするんです・・・副作用など知りたいです
投稿: ナオミ | 2012年10月20日 (土) 06:58
>ナオミさんへ
治験自体は費用は掛かりませんが、患者の中から色々な条件を満たした者が参加するものです。
亀さんは、20年前にインターフェロンの治療をし、効かず、5年前に新しいインターフェロンの治療法でも効きませんでしたが、病状を進行させないために対症療法的に強力ミノファーゲンや2分の1程度のインターフェロンを打ち続けてきました。(相当な費用が掛かりました。)
現在、参加している治験の治療法は、まだ、日本では認可されていないので、希望してもやってくれないのではないかと思います。
今回の治験でも、亀さんは大きな副作用がありませんでしたが、数人の方に重篤な副作用が出ています。
今回の治験の結果は、来年初めには出るので、その結果が良ければ、認可されるのでは…と思います。そうすれば、保険も適用になると思います。
K副院長は、2、3年を掛けずに認可を得たいと言っておられますので、今回の治験の結果が良い結果になることを待っていてください。
なお、今回の治験での副作用の大きいものは、重篤な肝機能障害のようです。亀さんの場合は、かゆみでしたが、軽いものでした。他人によって違うようで、外国では起こらなかったような副作用も日本では起こったようです。
お互いに、頑張っていきましょう!
投稿: 亀さん | 2012年10月20日 (土) 15:21
とてもよくわかりました。ありがとうございます。
今は、キョウミノとウルソですがTM病院の先生にすすめられた、インターフェロン少量で、とりあえず頑張っていきたいと思います!!良く考えてみたら、遺伝子検査もしているので、何かあれば先生の方からお話がありますよね・・・今月、脾臓血管塞栓術で脾臓の8割を壊死させてきたので、ここにきて一気に完治したくて、焦ってました・・・
インターフェロン少量に変える為来月また、入院して頑張ってきます・・・寒くなってきたので体を大事にしてくださいね。
投稿: ナオミ | 2012年10月21日 (日) 07:59
>ナオミさんへ
亀さんは、C型肝炎治療歴20年になりますが、C型肝炎の治療法は、年々進歩しているように思います。
患者の中には、色々な病院を渡り歩く人もいますが、亀さんは、TM病院が最先端の治療をしていると信じていますので、“この病院でダメなら他の病院でもダメだ”と思って、ずっとTM病院一筋で来ました。
先生の言われることを信じて、頑張っていきましょう!
投稿: 亀さん | 2012年10月21日 (日) 12:03
経口新薬でヒットしてココに来ました
約1年経っていますがどうでしょう
愛知県で受けれるなら自分もしたいです
ペグリバ併用はつらすぎて1ヶ月で中止を
願い出ました、陰性にはなってたのですが
投稿: 波打ち際 | 2013年3月29日 (金) 08:38
>波打ち際さんへ
2月7日のブログに書きましたように、この治験は、成功し、亀さんは、2月5日に完治を確認しました。
http://dankai-hiroba.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-ea68.html
ただ、この治療法が認められ、保険適用になるのは、来年の年末くらいになるようで、あと1年半待つ必要があるようです。
これでも、経口剤のみの認可としては先頭を走っているようです。
なお、愛知県では、名古屋市立大学病院が先進的な病院で、別の製薬会社ですが、経口2剤(インターフェロン未経験者を対象)の治験をもうじき始めるとともに、また、インターフェロン経験者に経口3剤の治験が検討されているとも聞いています。
http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/cr.dir/
http://w3hosp.med.nagoya-cu.ac.jp/
いずれにしても、亀さんが治験参加した治療法は、現段階で治療を受けることが出来るところはなく、審査結果が出るまで待つ必要があるようです。
名古屋市立大の治験に参加できるかどうかを調べられてはどうでしょうか。
なお、亀さんは、インターフェロン+リバビリンでは治りませんでしたので、経口2剤の治験に参加できたんですよ。
投稿: 亀さん | 2013年3月29日 (金) 21:50