京都師走スケッチ=知恩院の大鐘「試し撞き」
17人の僧侶がダイナミックに鐘を撞く知恩院の大鐘「試し撞き」を見てきました。大晦日の「除夜の鐘」の予行演習です。実は昨年もわざわざ手帳に書いておきながら雑事にかまけて見逃してしまったので「ことしこそは!」と家内を誘って出かけました。27日午後2時から開始でしたので30分前に到着して、と思いましたが道路混雑と駐車場探しに手間取り、三門の石段を上がったところで一息ついていると最初の鐘が。ようやく到着はしたものの最前列はお寺に事前に申し込んだテレビ各社や新聞社のカメラマンが陣取り、それ以外の前列は午前中から場所取りしたアマチュアカメラマン、さらに外側を観光客といった<布陣>でギャラリーはざっと見ても4、5百人はいます。遅刻した私は精一杯手を伸ばしてカメラに収めたのがこの1枚です。
そこで考えたのがアマチュア諸氏は<同じアングルは飽きる>のでそのうち移動するはずと。それが当たってようやく撮れたのがこちらです。
ご覧のように子綱を持った16人の僧侶が最前列の親綱を持った先輩格の合図で「えーい、ひとーつ、そーれ!」と声とタイミングを合わせて鐘を撞きます。勘定するとちょうど10回に1回の計算です。このとき親綱の担当は大きく身体を投げ出すようにして綱に力を込めますが、タイミングがずれたのかひっくり返るハプニングも。あわてて抱き起こされけがはなかったようですが、次はうまくいってギャラリーから一斉に拍手が起きて微笑ましかったです。(その瞬間のショット?残念ながら「目撃のみ」です)。撞く瞬間はこれだけ、私の力量と場所取り失敗でことしはここまででした。(もう少し左からズーミングして、手前に鐘、撞き手のアップ、背後に他の撞き手を・・・)
そうそう、いくつか解説しておきましょう。まず知恩院は東山区にある浄土宗知恩院派の総本山です。ことしは宗祖、法然上人の700回大遠忌でさまざまな行事が行われました。NHKの「行く年くる年」によく登場するこの大鐘は江戸時代初期の寛永13年(1636)に造られ、鐘楼とともに重文に指定されています。高さ3.3m、口径2.8m、厚さ30cmで重さは70トンもあります。鐘を撞く「撞木」は直径30cm、長さ4mほど、たとえると電柱ほどの太さです。この鐘は大きすぎて戦時中の供出を免れたという逸話もあり、奈良・東大寺の大鐘、京都・方広寺の鐘とともに「日本3大梵鐘」と呼ばれています。
お伝えできないのが残念ですがすぐそばで聞くと全身を包んでくれるような重厚で余韻の残る響きでした。 (記入者・野次馬)
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コメント
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こんにちは。
親綱担当の僧侶の姿、想像してクスッと、「行く年くる年」では絶対見れないですネ。
大勢の人の中で撮影、ご苦労充分伝わります。
野次馬さんも「良い年」で有りますように・・・
たくさんの楽しい記事アリガトウ御座いました。
投稿: マルチュウ | 2011年12月28日 (水) 16:37
すごいショットですね。
野次馬さんが動き回って、いい位置取りをして頑張ったことがよく分かります。
うまく鐘を突くために、こんな予行演習をしていることを知りませんでしたよ。
投稿: 亀さん | 2011年12月28日 (水) 22:02
マルチュウさんへ 中右の写真の右端に写っているご僧侶がこの「試し撞き」の仕上がり具合を最終判定をされるようです。全員のタイミングが完璧に合い撞く力も強弱なく統一されていなければ本番で乱れが出ます。他に用があったので途中で切り上げましたが、ことしは何十回目でOKが出たのでしょうか。新聞には綱を握る陸前高田市出身の研修生の「被災地復興を願って撞きたい」という談話が紹介されていました。ことしの「除夜の鐘」は撞くほうもそれを聞くほうも例年とは別の思いがあるでしょうね。
投稿: 野次馬 | 2011年12月28日 (水) 22:08
亀さんへ 私は野次馬精神で何とか雰囲気をお伝えしたかっただけですがぶれていたり、ADさんが前を横切っていたり。カワセミ写真で鍛えた亀さんならきっといい写真が撮れるはずですからいかがですか。「試し撞き」は昼間ですが本番は暗い中ですからさらに難しいはずです。以前、京都のいろいろな行事を撮り歩いている方に聞いたのですがいい写真を撮ろうと思ったら3年かかるとか。最初の年は位置取りを覚え、2年目に撮って失敗してみる、3年目にようやくまずまずのが撮れると。はまると奥が深そうですよ。
投稿: 野次馬 | 2011年12月28日 (水) 22:32