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2010年5月 2日 (日)

『活字たんけん隊』―野次馬の読書案内(010)

「<探検隊>ではなく<たんけん隊>というのがシーナさんらしいなあ」というのが書店の新刊コーナーで手に取った第一印象、もちろん中は見ずにそのままレジに直行しました。

椎名誠『活字たんけん隊―めざせ、面白本の大海』(岩波新書、760円)

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なぜ「中を見ない」のか?ですか。このシリーズはいつも出るのが待ち遠しいから、とお答えしておきます。でも今回はちょっと寂しいことが帯に書かれています。「奇書・快著から傑作・力作まで 痛快読書案内の四部作、完結篇」と、ここです。「完結なんかして欲しくない」というのが正直な感想なので今回は珍しく「あとがき」から読み始めました。

沢山の本を読んできた。作家の仕事をするようになったのは、その読書の蓄積と、それに感化されたやみくもなわが好奇に満ちたドタバタ的行動力ではないか、と自分では考えている。そういう本にからむ思いや体験についての話を岩波書店の『図書』に連載するようになり、最初の新書にまとまったのが『活字のサーカス―面白本大追跡』だった。1987年のことで、楼蘭探検隊にいく前年だった。以降『活字博物誌』(1998年)『活字の海に寝ころんで』(2003年)と続き、本書にいたる。ぼくのなかではこれは「わが活字四部作」となった。実際には「活字」はイコール「本」のことであるけれど、長きにわたって書いてきているうちに世の中には「活字離れ」などということが言われたり、伝統ある論壇誌がどんどん消えていったり、電車のなかで本を読んでいる人の姿をあまり見なくなったりと、活字(本)をめぐる環境は大きく変わってきたようだ。本好きのぼくとしては信じられない思いだけれど、そうなるとますます『本の力、本の夢』は意味を深め、その可能性を高めていくのではないか、と思っている。岩波新書で、本にからむ本を四冊も上梓することができて、ぼくの読書人生はしあわせでありました。

これを読んで最近の『図書』の目次を検索してみましたが残念ながら椎名さんのは見当たらず。「やはりそうか、最後が<でありました>と過去形で終わっているものね」と。そうなると「あまり見なくなった電車のなかで本を読んでいる人」としては数日でこの本を読了し、余勢?をかって本棚から前3冊を引っ張り出して再読したのでありました。

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最初の『活字のサーカス』(左)はシリーズ唯一の「黄版」でした。椎名さんの盟友の<ワニ目画伯>こと沢野ひとしさんのイラスト付きという構成で、岩波新書としてもかってなく型破りだったこともあり話題を呼びました。読んでいる途中で、この本に紹介されている何冊かを買って来て<同時進行>で読んだり、友人にも薦めた記憶があります。今回も再読してまた新しい発見があったりして・・・。しつこいけど「完結して欲しくないシリーズ」であり「いつになっても待ち遠しい(と思いたい)一冊」です。 (記入者:野次馬)

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