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2009年9月17日 (木)

歴史的建造物の運命の色々・1

  ―隣のビルにめり込んだビル―

「日本工業倶楽部会館」は、新しいビルにめり込んでいる!

「東京銀行協会ビル」は、新しいビルに“かさぶた”みたいにくっついている!

最近、歴史的建造物の保存についての特徴的な二つの事例に遭遇しました。090915011 090915022

一つ目は、日本工業倶楽部会館です。

丸の内仲通りの散策の折りに、“新しいビルにめり込んでいる”ビルが目につきました。三菱信託銀行の本店ビルに日本工業倶楽部(注)のビルがめり込んでいるのです。

1920年に建設された同会館は、日本における数少ない本格的なセセッション様式の建物で、我が国工業界のシンボル的建築です。平成11年に登録有形文化財として登録されましたが、老朽化、耐震性の欠如、機能更新の必要性から、隣接する永楽ビルヂングと共同で建て替えられることになりました。

この建て替え工事に当たっては、同会館は、現代的な三菱信託銀行本店ビルと一体化されましたが、都市計画の専門家の提案により、往年の姿を極力残す工夫(注)が施されました。地上30階建ての三菱信託銀行本店ビルは、会館のやや後方に建てられ、一見、別の建物のように見え、めり込んでいるようにも見えるのです。

隣接敷地との一体的な再開発であったなどからも、本当に素晴らしい保存ができたのでしょう。これからの歴史的建造物の再生保存のモデルとなるであろうと思いました。

次回は、この再生保存と対照的で、“瘡蓋(かさぶた)建築”と言われている、「東京銀行協会ビルヂング」(注3)です (記入者:亀さん)

(注1)日本工業倶楽部:http://www.kogyoclub.or.jp/

(注2)日本工業倶楽部会館の建て替え:その建て替えに当たって、日本都市計画学会の「日本工業倶楽部会館歴史検討委員会」(座長:伊藤滋氏)による保存・再現方法の提案を受け、会館の南側部分を保存・再現し、登録文化財としての歴史的景観の保全を図ることとした。http://home.att.ne.jp/sun/osum/uti-07kogyo.htmlhttp://chiyoda-tokyo.sakura.ne.jp/pic-htm/kougyouc.htmhttp://www.citta-materia.org/?itemid=95http://www.kogyoclub.or.jp/building.html

(注3)東京銀行協会ビル:http://home.att.ne.jp/sun/osum/uti-09ginko.html

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コメント

亀さんへ 連日のご健筆に接するにつけ感心しきりです。この日本工業倶楽部は私が属していた会社を買収した先がそれを記念して全社員を招待してパーティーをしてくれた会場でした。内部の重厚なしつらいといい、構造と言い「さすが日本、さすが丸の内(さすがMグループ)」という感銘を受けました。夜の開催でしたのでこうした保存の工夫は気づきませんでしたが。高層ビルに囲まれてもしぶとく残る建物を見るたびに保存とは逆の引越ということになるのですがバージニア・バートンの絵本『ちいさいおうち』を思い出します。

>野次馬さんへ
亀さんも、昔、財界の若手(当時)の大物に会うために工業倶楽部に行ったことがあります。
最近は、御幸通りの近くにはあまり行かないので、気が付きませんでした。
でも、こんな保存ができるのも、やはり大区画を支配するM財閥の実力なんでしょかね。

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