霞ヶ関・丸の内の文化財探訪・第4回
霞ヶ関・丸の内の文化財探訪の第4回目は、日比谷のDNタワー21です。
この建物は、実に妙な建物です!
つまり、DNビルの前面(写真上左)と裏側(写真下右)と真ん中(写真下左)とでは、まるで異なるビルなのです。国道1号線(皇居)の方から見ると、古典的ですがすっきりした角型の列柱が並ぶ7階建ての第一生命館で、裏側から見ると、低層階の壁面がイオニア式の柱頭飾りの円柱を使った威厳のある造りですが、よく見ると、その上は、21階建ての高層ビルとなっています。
この建物は、都の選定歴史的建造物に選定されていますが、元々は、旧第一生命館と農林中央金庫旧有楽町ビルの2つの建物があった敷地を高層化・再開発したもので、第一生命のDと農林中金のNをあわせてビル名にしています。
その際に、旧第一生命館の一部と農林中央金庫の2つの建物をファサードを復元し、歴史的な要素を保存しつつ、その間に高層ビルを造り、古いものと新しいものを融合させているのが、この再開発の最大の特徴となっているのです。
まず、旧第一生命館は、松本輿作、渡辺仁による設計で、すっきりした古典様式を取り入れており、1938年(昭和13年)に竣工しました。特に、この建物が歴史的に重要なのは、戦後、この建物が占領軍に接収され、連合国総司令部(GHQ)が置かれたことで、マッカーサー元帥の執務室はこの建物の6階にあり、昭和天皇とマッカーサーとの歴史的な会見があったのもこの建物でした。
一方、旧農林中央金庫ビルは、旧第一生命館と同じく渡辺仁による設計で、旧第一生命館の竣工の5年前の1933年に竣工していますが、旧第一生命館とは異なり、重厚で威厳のある古典様式を採用していました。
同じ設計者でありながら、2つの建物の様式が異なるのはその時代性を表すものだと思いますが、再開発で、異なった様式の要素をいずれも残して、1つのビルの一部となったのは数奇な運命と言うべきでしょう!
なお、亀さんは、以前、マッカーサー元帥の執務室等を見る機会があり、それらが現在も「史料展示室」「マッカーサー記念室」として、当時のまま保存されていると聞いていたので、今回、再度見たいと思いましたが、受付で尋ねると、「9.11同時テロ以来、非公開となっています。」とのことでしたが、パンフレット(写真上右)は頂くことができました。
外観だけ見るのもいいし、旧第一生命館は1階のロビーには入れるので、一度行かれることをお勧めします。(記入者:亀さん)
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コメント
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東京には 色々な見所が有りますね。
高校の修学旅行で初めて東京の大都会デビュー。
自由行動で科学技術館や逓信総合博物館を巡りました。
長期出張で千葉(君津 新日鉄)に居たときは
休日のたびに博物館巡りをしてました。
投稿: IWATO | 2008年2月26日 (火) 22:05
>IWATOさんへ
亀さんは、中学3年のときに東京の上野・浅草に来たことがあり、高校1年の終わりの修学旅行でも東京に来ました。そして、大学以来、ほぼ40年間の東京暮らしです。
でも、ようやく東京の良さが分かりつつあります。
特に、東京の下町や銀座の老舗めぐりをして、素朴な文化を感じました。
24日の深川と銀座の記事を読んでみてください。地方都市の生きる道が見えるような気がします。
投稿: 亀さん | 2008年2月26日 (火) 23:37