映画「母べえ」を観てきました!
亀さんは、映画「母(かあ)べえ」を、その公開初日の26日、夫婦でワーナーマイカル浦和美園に行って、観てきました。
①この映画が川口市で撮影されたこと(注1)や②母べえ(野上佳代)を演じる吉永小百合が、亀さんたちのサユリスト世代のマドンナであり、また、原爆詩朗読を通じて広島に縁があることや③父べえ(野上滋氏=坂東三津五郎)が広島出身者であること等から、広島出身者であり川口市に住む亀さんとしては、是非見ておかなければいけないと思ったからです。
この映画は、第二次世界大戦(支那事変~太平洋戦争)にかけての時代に、反戦を唱えた大学教授の夫(父べえ)を治安維持法で逮捕された家族の生きざまや絶望的な時代を懸命に生きた人々の思いを、丁寧に描いたものです。
家族の愛や母親の強さや人と人の絆などが山田洋次監督の手で見事に描かれ、吉永小百合が力強く生きる母べい役を見事に演じ、その引出し役として、父べいの教え子の山崎徹役の浅野忠信や母べいの叔父の藤岡仙吉役の笑福亭鶴瓶が味を出している。
しかし、亀さんの感想としては、期待感が大きかっただけに、多少失望しました。すなわち、映画の主題が①家族愛や母親の強さにあるのか、②反戦・言論の自由にあるのかが、不明確であり、劇場プログラムに「混迷する現代を生きるすべての日本人へ贈るメッセージ」(注2)と書いてある(9頁)が、①に比べて②の描き方には何となく物足らなさを感じました。
もっとも、老いた母べえが亡くなる直前に虫の声で、「(父べえに)あの世でなんか会いたくない。生きている父べえに会いたい」という部分は、戦争の悲惨さを強く感じさせ、亀さんもつい涙を流してしまった。
この場面については、映画評論家の吉野英夫氏は、「ここに本作の思いが集約される。反戦平和を声高に叫ぶのではなく、しかし無残な戦争を拒否する山田の決意がある。」(注3)と言われている(劇場プログラム64頁)ので、山田監督自身が反戦の表現をこの程度で良いと考えられているのかもしれない。(記入者:亀さん)
(注1)吉永小百合さんがかつて映画「キューポラのある町」の主演をしたことを縁にして、その舞台であった川口市で撮影された。
(注2)「母べい 劇場プログラム」
(注3)原作者の野上照代さん(照べえ)も、インタビュアー(劇場プログラム70頁)で、「反戦を、声高に謳う映画でなく、静かな語り口で、問いかけてきます。」と言うインタビュアーに「それが山田監督作品の大きな特徴です。」と同意されいる。
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お元気な演技でした
自転車の二人乗りでも
落ちない程の運動神経は
ご立派です....。
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いつもアケビを見に来ていただきありがとうございます。姑の介護がありまったくブログ更新していませんでした。今でもアケビまなっています。昨秋はとても沢山 その前は何か虫が付いたみたいで小さな実の内にポロポロ落ちて 七つ位しかなりませんでした。我が家は二種類のアケビがあります。結実にはブルーベリーと同じく別の種類が欲しいそうです。 近所の方は、それがわかってから我が家の垣根に花が咲くと雄花だけ持って行き自分の家の雌花に付けています。角館方面はとてもお料理によく使うそうです。
投稿: akebihana | 2008年1月27日 (日) 07:19
TBありがとうございました。
「母べえ」の記事早速読ませていただきました。
投稿: ともちゅわん | 2008年1月27日 (日) 08:31
トラックバックありがとうございました。大阪のモクモクと言います。日本映画やテレビドラマを中心に感想をアップしています。これからもよろしくお願いします。
投稿: MOKUMOKU | 2008年1月27日 (日) 10:24
>akebihanaさんへ
亀さんちのアケビは、結局、6~7個の実を収穫しました。現在、三つ葉アケビも五つ葉アケビも葉っぱを落として冬芽だけです。
3月になれば花芽などが出てくるのでしょうが・・・。
今年は、去年以上の収穫を期しています。
投稿: 亀さん | 2008年1月27日 (日) 10:39
>ともちゅわんさんへ
コメント、有難うございます。
「陰日向に咲く」を見られたようですね。
亀さんは、モデルになった人を知っている「マリと子犬の物語」も見ていなかったので、そちらも見たかったのですが、公開初日の「母べえ」にしました。
「陰日向に咲く」は隣りのスクリーンで上映していました。
投稿: 亀さん | 2008年1月27日 (日) 10:47
>MOKUMOKU さんへ
コメント、有難うございました。
MOKUMOKU の言われるように、家族の愛情や母べえの強さは良く描けており、笑福亭鶴瓶の演じた「奈良のおじさん」がこの映画にピリッとした味を加えていたと思います。しかし、平和への思いは少しぼけていたような気がします。
でも、これは、それぞれの受け取り方ですかね?
投稿: 亀さん | 2008年1月27日 (日) 10:58
トラバありがとうございました。
試写逃しましたが、一見の価値あり
の映画のようなので、時間繰り合わせて
劇場に行こうと思います。
投稿: ぼちぼちコアラ | 2008年1月27日 (日) 11:20
>ぼちぼちコアラ さんへ
亀さんたちのブログへのコメント、有難う!
亀さんたちのブログは、同じ高校同期卒の団塊世代、還暦オトコ3人組が共同で運営しています。テーマは一定していませんが、頑張っていますので、時々覗いてみてください。
投稿: 亀さん | 2008年1月27日 (日) 12:28
初めまして。トラックバックありがとうございます。
ふざけたような文章ですが、何だか嬉しいです。
これからちょくちょくお邪魔させて頂きます!
投稿: イエロウ | 2008年1月27日 (日) 19:29
こんにちは
トラックバックありがとうございます。
最近、邦画の勢いがあり、ついつい見てしまうんですよねぇ。
これからもどうぞよろしく!
投稿: Jilsovao | 2008年1月27日 (日) 19:40
>イエロウさんへ
コメント、有難う!
亀さんたちのブログは、同じ高校同期卒の団塊世代、還暦オトコ、3人組が共同で運営しています。
コンセプトが一定しませんが、頑張っていますので、時々覗いて下さいね!
投稿: 亀さん | 2008年1月27日 (日) 22:46
>Jilsovao さんへ
コメント、有難うございます。
本当に最近は邦画も良いものが多いですね。
でも、「母べえ」は少し期待はずれでした。期待感が大きすぎたのですかね?
なお、亀さんたちのブログは、同じ高校同期卒の団塊世代、還暦オトコ、3人組が共同で運営しています。コンセプトが一定しませんが、頑張っていますので、時々覗いて下さいね!
投稿: 亀さん | 2008年1月27日 (日) 22:52
TBありがとうございました。
投稿: rock-c | 2008年1月28日 (月) 00:29
>rock-c さんへ
コメント、有難うございます。
rock-c さんのブログはヘッドの絵が素敵で、いいですね。
亀さんにとって、「母べえ」は、期待感が強すぎたためか、若干期待はずれでした。
なお、rock-c さんは1000円の料金のことを書かれていましたが、最近は、60歳以上や50歳以上の夫婦の場合、大体どこでも1000円ですよ。
亀さんも、還暦ですから1000円のくちです。(性格には、インターネットで予約しているので、1100円です。)年配者にとっては、このくらいの料金だと手頃なんですよ。
投稿: 亀さん | 2008年1月29日 (火) 00:53
亀さんへ
コメントありがとうございます。またヘッドのお褒め、うれしゅうござります。
しかし¥1000の件、本当に疑問なんですよ、どうしてこんなに安いのでしよう?安いにこしたことないですけどね。ではまた
投稿: rock-c | 2008年1月30日 (水) 00:29
> rock-cさんへ
1000円については、色々な考え方がありますね。
シネマコンプレックスは、高齢者や女性の割引が多く、若者には不合理に感じるかもしれませんね。
亀さんが思うには、「映画を安くして、客をひきつけ、ショッピングセンターで買物をさせて、儲ける」「小金を持っている高齢者に買物をさせる」という、営業戦略で、営業側は映画料金だけで考えてはいないのでは・・・とも感じますよ。(考えすぎかな?)
投稿: 亀さん | 2008年1月30日 (水) 23:27
こんにちは。TBありがとうございました。
私も同世代です。よろしくお願いします。
さて、亀さんのご不満点についてですが、山田洋次という監督は、常に庶民のささやかな生活の哀歓を描いて来た作家で、あからさまなテーマを正面に打ち出すタイプの人ではありません。
母べえ、父べえ、子供たちのつましい生活ぶりを丹念に描く事で、その幸せをぶち壊してしまうものに対する、静かな怒りを湛えた映画になっているのです。
母べえも、一言も戦争反対とは言ってません。じっと、悲しみに耐えてます。
ラストの、父べえとの幸せな生活を返して欲しい…という最期の言葉が、山田作品としては珍しい感情のほとばしりになってますし、戸田恵子(照べえ)の演技指導にちょっと違和感はありますが、全体として私は、いかにも山田洋次らしい作りだと納得しました。
投稿: Kei | 2008年2月 2日 (土) 14:44
> Keiさんへ
懇切なコメント、有難うございました。
映画の見方として、色々あっていいと思っています。
亀さんとしては、家族愛・母親の力強さ感じ、この部分には感動しました。
亀さんが言いたかったのは、「反戦平和」映画として、ある政党系の団体が割引券を配布していたりするのを見て、「反戦平和映画であれば、もっといいのがあるぞ!」ということなのです。
投稿: 亀さん | 2008年2月 2日 (土) 17:35